世界最安!Cloudflare Registrarにドメインを移管する方法

CDNで有名な「Cloudflare」が提供する卸売価格そのままの超格安レジストラサービス「Cloudflare Registrar」に関する内容

Cloudflare Registrarって何?

Cloudflare, Inc.が運営するコストパフォーマンスとセキュリティに優れたドメイン取得サービスです。

.com や .net といったトップレベルドメインを卸売価格そのままで販売することで、世界最安クラスの価格でドメインを取得できるドメイン取得サービスで、価格だけでなく二要素認証やDNSSECといった次世代セキュリティ技術も無料で提供するため、安く安全な最強のサービスとなっています。

なぜ卸売価格そのままで提供できる?

Cloudflare Registrarではドメイン登録サービスで収益を上げることを考えていないため、卸売価格そのままという非常識な低価格を実現しています。

すぐにサービスが成り立たなくなるのでは?という懸念

とはいえ、単純に手数料なしで提供することはビジネスモデルが成り立っておらず、将来の心配が残るため「ドメイン」というウェブサイトで最も重要な情報の管理を任せることには懸念が残ります。

しかしこの懸念をCloudflare Registrarは一言で解決しています。

「All we’re doing is pinging an API, there’s no incremental cost to us, so why should you have to pay more than wholesale?」

(参考:Introducing Cloudflare Registrar: Domain Registration You Can Love

意訳すると「私たちがしているのはトップレベルドメインのAPIを実行しているだけです。なぜあなたに卸売価格以上の費用を求める必要があるのですか?」

すなわちCloudflareは、あくまでドメイン取得サービスがしているのは「.com や .net が提供しているAPIを実行しているだけ」にすきず、「その程度であれば費用を求める必要ない」と宣言しています。

確かにドメイン自体はトップレベルドメインの管理組織(レジストリ)が管理しているため、手数料を取らないことはそれほど非常識なことではありません。

情報を安全に管理するにはコストが掛かるのでは?という懸念

また、ドメイン登録に必要な個人情報やクレジットカード情報を安全に管理することにも費用が掛かりますが、そもそもCloudflareはCDNサービスというドメインに関する情報の管理と、その料金支払い情報の管理を既に行っているため、新たにドメインの管理情報が増えても誤差の範囲といえます。

パソコンに詳しい方であればご存じと思いますが、セキュリティは初期費用と固定費用がほとんどであり、データ量は費用にはほとんど影響しません。

逆をいえば、そのような実績(システム)がない会社が同じようなことを始めた場合、セキュリティが杜撰である可能性が非常に高いといえます。

セキュリティ機能も無償で提供

Cloudflare Registrarでは二要素認証やDNSSEC、Whois情報公開代行を無償で提供しています。二要素認証は最近のウェブサービスのセキュリティ対策としては定番で、その実績は指折りです。

DNSSECって何?

SSL/TLS通信 でも利用されている「公開鍵暗号方式」と「電子署名の仕組み」を応用したDNSの次世代セキュリティ機能で、定期的に話題となる「キャッシュポイズニング」の有効な対策の一つです。DNSのセキュリティを一気に向上させることができますが、設定が面倒のため普及が進んでいません。

しかしCloudflare Registrarではダッシュボードから ON にするだけでこの次世代セキュリティ技術を無償で使用することができます。

WHOIS redaction(Whois情報公開代行)

Cloudflare Registrarでは「WHOIS redaction」というWhois情報公開代行(Whoisプライバシー)に相当する機能を標準かつ無償で提供しています。「Whois情報公開代行」はWhoisに掲載されるドメイン所有者の個人情報をプライバシー保護の観点からドメイン登録会社のものに書き換えて掲載するサービスですが、「WHOIS redaction」は個人情報部分を「Data Redacted」という値に書き換えて掲載します。

Cloudflare RegistraはICANN公認レジストラ

Cloudflare Registrarは「インターネットの事実上の支配者」であるICANNが認定した公認レジストラ(ドメイン取得サービス)です。

そもそもインターネットに管理者っているの?

「インターネットは様々な団体が相互に接続しあったネットワークの一種で、全体の管理者や支配者はいない」とよく言われていますが、実際にはICANNという民間組織がインターネットを事実上管理しています。

その理由はICANNが「ドメイン」と「IPアドレス」を管理しているためです。インターネットを使ううえで欠かせないこの二つの情報は、全世界規模で重複しないように管理する必要があり、元々はIANAという一部の大学教授等が集まったプロジェクトグループが管理していましたが、運用費用の一部をアメリカ政府が負担していたこともあり、当時非営利法人だった「ICANN」に移管されました。

(参考:インターネット用語1分解説~ICANNとは~ – JPNIC

ただし、実際には世界中で管理されている

しかし、ICANNは「ドメイン」と「IPアドレス」を管理していますが、すべての情報をICANNだけで管理しているわけではありません。ICANNはあくまで「ドメイン」と「IPアドレス」の最終的な管理を行う組織で、実際はある特定の単位で分担して、世界中の企業が「ドメイン」と「IPアドレス」を管理しています。

ドメインの場合、.com や .net といったトップレベルドメイン単位で「レジストリ」が管理しています。

レジストリはトップレベルドメインを管理しますが、ICANNの方針でドメインを直接販売することはしていません。そのため、ドメインの販売はCloudflare Registrarを含むレジストラが仲介して行っています。

(画像引用:ICANN認定レジストラとは何か? | 100%レンタルサーバーを使いこなすサイト

このレジストラの中でもICANNが認定したレジストラが「ICANN公認レジストラ」です。ICANN公認レジストラはレジストリと直接取引を行うことができるため、レジストリの卸売価格でドメインを入手することができます。

そのため、Cloudflare Registrarは「ICANN公認レジストラ」のリストに掲載されていますが、卸売価格で販売しているという点からも「ICANN公認レジストラ」といえます。

(参考:ICANN | ICANN-Accredited Registrars

なお、国内では「お名前.com」で有名なGMOインターネットやエックスサーバーの関連会社が提供する「スタードメイン」が「ICANN公認レジストラ」です。

Cloudflare Registrarの制約

Cloudflare Registrarで低価格で安全なドメイン管理を行うには3つの制約をクリアする必要があります。

移管だけで登録は未対応

Cloudflare Registrarは既に所有しているドメインの移管先として設定することができますが、ドメイン自体の登録を行うことができません。

仮にあなたがドメインを新規取得するつもりなら、一度別度レジストラでドメインを取得し、Cloudflare Registrarに移管する必要があります。

汎用JPドメインは未対応

Cloudflare Registrarは数百という膨大な数のトップレベルドメインに対応していますが、.jp や co.jp をはじめとした汎用JPドメインには対応していません。

といっても .com や .net といった世界的に有名なドメインはもちろん対応しているため、問題となることは無いでしょう

登録年数は一年単位

Cloudflare Registrarではドメインの登録年数を一年一択に固定していますが、自動更新機能が標準で提供されているため問題となることは無いでしょう

もちろん、自動更新を無効にすることもできます。

Cloudflare Registrarにドメインを移管するには

Cloudflare Registrarにドメインを移管するには

  1. 認証コード(AuthCode)の取得
  2. Cloudflareアカウントの作成
  3. ドメインをCloudflare に登録
  4. Cloudflare の支払い情報の設定
  5. Cloudflare Registrarへの移管手続き

をする必要があります。

認証コード(AuthCode)の取得

Cloudflare Registrarにドメインを移管するには、認証コード(AuthCode)が必要です。

Cloudflare Registrarに限った話ではありませんが、第三者の乗っ取りを防ぐためドメインを移管する際は、既存のレジストラで移管するドメインの認証コードを発行し、移管先のレジストラに発行された認証コードを登録しなければなりません。認証コードの発行方法はレジストラによって違うため、ここでは紹介しません。例としてスタードメインで発行する場合は次のボタンをクリックすることで発行できます。

Cloudflareアカウントの作成

Cloudflare RegistrarはCloudflare, Inc.が提供するサービスの一つのため、Cloudflareアカウントが必要です。ネット上には丁寧に解説した記事が無数に存在し、ドメインを管理しているパソコンに詳しい方であれば、解説を読まなくてもアカウントの作成は可能です。そのため、ここでは紹介しません。

もちろん、既にCloudflareアカウントをお持ちであれば、新規で作成する必要はありません。

ドメインをCloudflare に登録

Cloudflare Registrarに移管できるドメインはCloudflareのDNSサーバが設定されている必要があります。といってもCloudflareアカウントを作成する際に、ドメインを設定したと思いますから既にアカウントをお持ちの方は特別設定を行う必要はありません。

ただ、複数のドメインをお持ちでCloudflareアカウントには設定していないドメインをお持ちの方は、Cloudflareアカウントにドメインを設定する必要があります。

Cloudflare の支払い情報の設定

Cloudflare Registrarへの移管手続きを行うには事前に支払い方法を設定する必要があり、対応している決済方法は「クレジットカード」もしくは「PayPal」で、銀行振り込みやコンビニ払いには対応していません。

ただし、JCBのクレジットカードはエラーなく設定することができますが、Cloudflare Registrarの支払い時にエラーとなるため、避けたほうが良さそうです。

Cloudflareの決済方法の一覧
  • クレジットカード(VISA・MasterCard・American Express・Diners・Discover・JCB)
  • PayPal
支払い情報を設定する方法

Cloudflareのダッシュボードにアクセスします。

「Billing」をクリックします。

「Payment info」をクリックします。

クレジットカード情報や支払い者情報など支払いに必要な情報を入力したら、「Confirm」をクリックします。

※支払い者情報に名前などを入力する必要がありますが、WHOISで公開される情報ではありませんのでご安心ください。

次の画像と同じになったら支払い情報の設定は完了です。

Cloudflare Registrarへの移管手続き

Cloudflare Registrarでは移管手続きを3つのステップを踏んで行う必要がありますが、あなたが行う必要があるステップは最初の一つだけに過ぎません。

  1. 認証コードを使い、Cloudflare Registrarへドメインの移管申請を行う
  2. 既存レジストラとCloudflare Registrar間で申請内容の突合せと必要な手続きを行う
  3. Cloudflare Registrarとレジストリ間でドメイン管理者情報の変更手続きを行う
ドメインの移管申請を行う方法

Cloudflareのダッシュボードにアクセスします。

「Domain Registration」をクリックします。

Cloudflare Registrarに移管したいドメインにチェックしたら、「Confirm Domains」をクリックします。

認証コードを入力して、「Confirm Authorization Codes」をクリックします。

氏名や住所など移管申請に必要な情報を入力して、「Confirm and  Finalize Transfer」をクリックします。

次の画像と同じになったらドメインの移管申請は完了です。残りの2ステップはCloudflareが行うため、あなたはCloudflareがステップを完了するまで、2日程度待つだけです。

移管手続きが完了すると

Cloudflareアカウントに設定したメールアドレスに「Your transfer to Cloudflare Registrar has completed!」というメールが届きます。私の場合は移管申請完了からちょうど4日目に届きました。

時系列

8月4日:クレジットカード処理の完了(「Your Cloudflare Purchase Confirmatio」というメールが届く)

8月4日:移管申請の完了(「Your transfer to Cloudflare Registrar is underway」というメールが届く)

8月10日:移管手続の完了(「Your transfer to Cloudflare Registrar has completed!」というメールが届く)